第20回記念定期演奏会にコンサートマスターとして出演されるヴァイオリニストの加藤えりなさんにお話を伺いました。
加藤さんと東京セラフィックオーケストラとは、2017年1月、第12回定期演奏会で「メンデルスゾーン・ヴァイオリン協奏曲」ソリストでの共演をはじめ、コンサートマスターとして定期的にご出演いただいております。
当団とのエピソードや演奏曲への想いを中心にお話いただきました。
(2025年11月15日:インタビュアー Ob.笹原俊一)
――東京セラフィックオーケストラ(以下、当団と記載します)とは、長きにわたりお付き合いがありますが、当団への率直な印象をお聞かせください。
過去に共演させて頂いたアマチュアオーケストラさんは、練習の後に飲み会があることが多かったのですが、東京セラフィックオーケストラの団員の皆さんは、そうした姿をあまり見かけません(笑)。そして、練習に全身全霊を注ぎ、堅実な印象を受けます。
また、毎回本番前の追い込み(ラストスパート)が凄いなと感じています。
――これまでの当団との共演のなかで、特に印象に残る演奏会やリハーサルなどがありましたらお聞かせください。
やはり、昨年のクリストファー・ヒンターフーバー氏とのシューマン・ピアノ協奏曲の共演が印象深いですね。特に、第3楽章は大変リズムが難しく、高いソルフェージュ能力が求められます。ソリストとの合わせは前日1回のみという状況で、私自身ドキドキしていましたが、団員の皆さんの集中力が素晴らしく、見事に本番を演奏しきったことは、記憶に新しい嬉しい思い出です。
――今回、ソロを担当されるリムスキー・コルサコフ作曲・交響組曲「シェヘラザード」について、冒頭にあるシェヘラザードの主題を弾かれる時の心境をお聞かせください。
冒頭の主題については、私の中で明確なイメージがあります。
白い薄い布とヴェールに身を纏った美女(シェヘラザード)がスーッと現れ、王様も人々もハッと息を呑みます。彼女にスポットライトが当たっているかのような現象と、静寂の瞬間が思い浮かびます。
――交響組曲「シェヘラザード」の聴きどころについてお聞かせください。
ストーリー性があり、他の一般的なシンフォニーに比べて親しみやすいのではないでしょうか。特に、王様とシェヘラザード姫との対話に注目していただけたらと思います。対話は各楽章の随所に出てきますが、その性質は変容して行きます。第4楽章ではそれまでの主題が総決算のように再び現れ、高揚感を持ってフィナーレを迎えます。
それから、ヴァイオリンだけではなく各楽器に長いソロがありますので、注目してみてください。
――ソリストとしての演奏や室内楽など多方面で活躍されている加藤さんですが、今回はオーケストラのコンサートマスターとして演奏されます。ソリストとコンマスの違い、コンサートマスターならではのやりがいや苦労などをお聞かせください。
ソリストの場合、自分のミスは自らの評価を下げるだけとなりますが、コンマスのポジションでミスをした場合、セクションのみならずオケ全体を崩壊させてしまうほどの影響が生じてしまいますので、責任の重さが違うと思います。
一方で、指揮者と共にオケ全体を引っ張っていく、舵取り役としてのコンマスの役割に醍醐味を感じています。
――最近力を入れていらっしゃる演奏活動や直近の演奏会情報などがありましたら教えてください。
最近は、室内楽に傾注して取り組んで行きたいと思っていまして、頭の中にあるいくつかのアイディアをどう実現していくか模索しているところです。また、室内楽&アリアのワークショップを定期的に開催するなど、後進の指導にも力を注いでいます。
直近の演奏会については、年末に鳥取市の大ホールでの室内楽公演があります。2000人のホールで室内楽を弾かせて頂くことは滅多に無いのでワクワクしています。
――ヴァイオリニストとして、今後の演奏活動への抱負についてお聞かせください。
今も昔も理想は常にあってそれを日々追いかけています。音楽への追求は終わりのない永遠の作業だと思っていますので、今後も一つ一つのコンサートを大事にしていきたいです。
――最後に、第20回記念定期演奏会にご来場のお客様に向けてメッセージをお願いします。
東京セラフィックオーケストラは、指導者を固定せず、現場の第一線で多方面にわたり活躍されている複数の演奏家に、様々な切り口から適時適切なアドヴァイスを受けており、それを成長の糧としていると感じています。
団員の皆さまの半年間の練習の成果、そして、演奏会に向けた熱い想いを是非聴きに来ていただけたらと思います。
――本日はお忙しい中、貴重なお話をお聞かせいただき、誠にありがとうございました。
