鈴木舞さんインタビュー


第18回定期演奏会の曲目「チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲」のソリスト、鈴木舞さんにお話を伺いました。

現在、国内・海外で演奏活動をされている鈴木さん。

演奏曲への想い、そしてヴァイオリンを始めたきっかけから、演奏家として大切にしていることまで、たくさんのお話をしてくださいました。

(2024年1月27日:インタビュアー Ob.笹原俊一)

 

 

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――東京セラフィックオーケストラ(以下、当団と記載します)とは初共演になりますが、本日のリハーサルを通じて、当団に対してどのような印象を持たれましたか?

 

団員の皆さんが笑顔で楽しそうに演奏されているのが印象的でした。私自身が皆さんから沢山エネルギーをもらって元気になりました。本番が楽しみです。

 

 

――今回演奏する「チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲」は、鈴木さんにとって、どのような曲ですか?

 

 私はスイスに3年間留学していたことがあり、モントルーに住んでいました。この曲はチャイコフスキーがモントルーの隣町であるクラランに滞在中に作曲され、まさにチャイコフスキーが見ていたであろう景色、例えばレマン湖畔や山岳地帯を実際にこの目で見て歩いて、勉強した思い出があります。

それから、この曲は望郷の要素が詰まった曲であると言われています。というのも、第2楽章は初めもっと長い曲で、現在(いま)のものに差し替えられたのですが、元々の曲は、「懐かしい土地の思い出」として知られています。当時、ロシアからスイスは気軽に行ける距離ではなく、チャイコフスキーは故郷に想いを馳せながら作曲を行ったものと思われます。

 

 

――「チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲」の聴きどころを教えてください。

 

コンチェルトの醍醐味はオケとソロとのエネルギーの交換であると思っていて、相互交換によりどんどんエネルギーが増幅されていきます。

チャイコフスキーのこの協奏曲は、特にそのエネルギーが感じられやすい曲だと思います。ヴァイオリンソロとオケとの掛け合いを意識して聴いていただければと思います。

それから、私の先生の先生の、先生であるアウアー氏がこの曲を編曲しており、今回はこのアウアー版を取り入れて演奏します。一般に知られている音域とは違う音域で演奏している箇所もありますので、注目してみてください。

 

 

――ヴァイオリンを始められたきっかけを教えてください。

 

3歳からピアノを習っていたのですが、あまり好きにはなれず、別の楽器をやりたいと思っていました。そうしたところ、たまたまテレビで観たチェロに強い憧れを抱き、「この楽器をやりたい」と思いましたが、当時は、チェロをヴァイオリンと勘違いしており、両親には「ヴァイオリンをやりたい!」と伝えてしまいました(笑)。4歳の時です。「何か違うな・・・」とは思いながらも、自分でやりたいと言った以上、後には引けませんでした。

ですが、良い先生に出会えたことで、どんどん楽器にのめり込んで行き、今に至っています。

 

 

――鈴木さんの演奏される姿を拝見して、全身から音楽を表現する喜びに満ち溢れているように感じました。ヴァイオリンという楽器の魅力を教えていただけますか?

 

ヴァイオリンは最も人間の声に近く、心からの声を届けられる楽器であると感じています。特に、現在お借りしているアマティという楽器は、豊潤な響きのする楽器で、演奏するのがとても楽しいです。

 

 

――逆に、ヴァイオリンを演奏していて、辛いと感じることはありますか?

 

自分を律して練習時間を確保することが一番大変です。

打合せやリハーサルをこなして、疲れて帰宅した後も練習をするためにスイッチを切り替えなければならず、時には深夜から徹夜で練習することもあります。

それを乗り越えた先にある、音楽を聴いてくださる方と共有する喜びは何にも変え難く、それがモチベーションとなっています。

アマチュア演奏家の方々は、普段お仕事でお忙しい中にも関わらず、合間を縫って楽器の練習をされ、難しい楽曲に挑戦されて、尊敬の気持ちと共に、見習いたいなと常に思っています。

 

 

――演奏家として大切にされていることを教えていただけますか? 

 

楽曲は作曲家が生命を削って絞り出したものであり、言葉では表現することのできない作曲家の想いを聴衆に伝えられる演奏家になりたいと思っています。

ただ、そのためには、私自身の人生経験と結びつけて演奏する必要がありますので、楽器の練習だけではなく、一人の人間として成長していかなければならないと思っています。深い音楽表現をするには深い人間性が不可欠と思っていますので、そうした人間性を高める努力も怠らないようにしていきたいです。 

 

――鈴木さんの今後の演奏活動について教えていただけますか?

 

3月には北欧をテーマとしたリサイタルや、犬と一緒に楽しめるカフェでの食事付きコンサートを予定しています。4月にはドイツ・ミュンヘンでの演奏会、6月には日本フィルハーモニー交響楽団とジョン・ウィリアムズの曲をNHKホールで共演予定です。

 

 

――最後に、第18回定期演奏会にご来場のお客様に向けてメッセージをお願いします。

 

一般に、クラシック音楽は敷居が高いと思われていますが、あまり難しいことは考えずに、感じるままに音楽を聴いて楽しんでいただけたらと思います。

気軽な気持ちで会場にお足を運んでいただき、生の音、楽器の振動を感じ取っていただけたらと思います。

 

 

 

――本日はお忙しい中、貴重なお話をお聞かせいただき、誠にありがとうございました。